暗黒館の殺人(綾辻行人)感想

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書籍情報

           
タイトル暗黒館の殺人(一)
著者綾辻 行人
出版社講談社
発売日2007年10月
商品説明蒼白い霧の峠を越えると、湖上の小島に建つ漆黒の館に辿り着く。忌まわしき影に包まれた浦登(うらど)家の人々が住まう「暗黒館」。当主の息子・玄児に招かれた大学生・中也は、数々の謎めいた出来事に遭遇する。十角塔からの墜落者、座敷牢、美しい異形の双子、そして奇怪な宴……。著者畢生(ひっせい)の巨編、ここに開幕!(全四巻) ラストに差しかかる辺りでは、胸が詰まってしまった。胸中に、凡(すべ)ての妖しき館が次々に屹立し、そして次々に崩れ去って行った。冷静でいられる訳はなかった。 黒々とした暗黒館の廃墟の上に、私は何だか異様なものーー懐かしいような、切ないような、そしてどうしようもなく愛おしいものーーを、幻視してしまったのである。--京極夏彦<文庫版第四巻巻末に収録の「特別寄稿◆暗黒館の諸相」より抜粋>
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目次

作品紹介

綾辻行人による長編シリーズ作品、通称「館シリーズ」の第七作目。シリーズで最もボリュームのある作品となっており、文庫本で購入するとなんと4冊に上る。

そんなわけでちょっと手を取りづらい部分もあるが、そんな一見冗長なページ数でも読者を退屈させないのが綾辻行人だ。私も読めるときに1日1冊づつ読み進めたけれど、全然面白く読むことができた。まあでもね、ちょっと重いっすねやっぱり。

あらすじについてはwikiをそのまま載っけておきます。

熊本県の山深くに、外界から隔絶された湖の小島に建つ浦登家の人々が住まう漆黒の館、暗黒館。大学生、中也は当主の息子・玄児に招かれる。そこで「ダリアの日」と呼ばれる奇妙な宴に参加するが、そこから殺人事件が続発していく。謎を追っていくうち、ダリアの宴の真実、恐るべき浦登家の秘密が明かされる…。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/暗黒館の殺人

感想(少しネタバレあり)

本音を言ってしまえば、私はミステリにせよ他のジャンルにせよ、500Pくらいに収めて欲しいと思っている。それは一度本を開いたら、そのまま閉じること無く一気に読み切ることが、小説の世界に没入するうえで理想的であるからだ。

あまりに長くなってしまうと、限りがある時間の中ではどうしても一度小説の世界を離れなければいけなくなってしまう。一度離れてしまうと以前と同じようにのめり込む事は難しくなってしまう。そのような状態だと作品の面白さを満足に味わえないのだ。

暗黒館の殺人はその点で言えば、普通の人が一日で読み切れるボリュームでは決して無いし、私の好みには合わなかったと言える。しかしこの作品においては、やむなく本を閉じることになっても再読するにあたり、それほど違和感なく入ることができた。

それは、ひとえに本作のキャラクタ作りの濃さ故だろう。

多少作品を離れても、決してキャラクタ達が作り出したストーリーは忘れないよう作られているのが、暗黒館の殺人の魅力の一つであると思う。ミステリらしい驚きもあったが、キャラクタに愛着が湧く作品であったというのが私の印象だ。

このキャラクタに関してだが、登場人物の中に双子の姉妹が居る。彼女たちは先天的に体に特徴を持っており、その彼女たちには秘密がある。その秘密を、私は「もしかしたら……」と勘ぐっていたらまさにその通りの結果となった。話は逸れてしまうが、私が少しでも綾辻行人の作風が解ってきた気がして嬉しかった、と感じたのを記しておく。

ボリュームの部分を許容できるのであれば、館シリーズのファンなら楽しめる作品だ。

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やまぐろ
システムエンジニア
SESで業務アプリケーション開発、エンドユーザ向け機能などの開発に携わっている文系(経営学)卒エンジニア。
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たまにエンジニアっぽい記事を書いたりすることも。
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