本陣殺人事件(横溝正史)感想

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取っ付きやすさ:
トリック:
ストーリー:

和室での密室事件という難しいことをやってのけた作品。

この作品には表題作の他に「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の二作を収録しており、三作品併せてのページ数は大体400pほど。

その中の約半分ほどが「本陣殺人事件」である。

書籍情報

           
タイトル本陣殺人事件 金田一耕助ファイル2
著者横溝 正史
出版社KADOKAWA
発売日1996年09月
商品説明一柳家の当主賢蔵の婚礼を終えた深夜、人々は悲鳴と琴の音を聞いた。新床に血まみれの新郎新婦。枕元には、家宝の名琴”おしどり”が……。密室トリックに挑み、第一回探偵作家クラブ賞を受賞した名作。
画像

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目次

感想(少しネタバレあり)

この本陣殺人事件は、舞台となっている本陣の末裔の屋敷、屋敷にある日本特有のアイテム、そして犯行の動機まで一貫して日本らしさが現われている作品だと思う。

この作品の面白さはなんと言っても日本家屋特有のアイテムを駆使したトリックにある。

いくつもの道具を何重に張り巡らせて出来上がった仕掛け、これを一つ一つデモンストレーションしながら解いていくシーンは、目の前で解答を提示された登場人物たちと同様に読者も唖然とするに違いない。

著者の密室殺人に対するこだわりがひしひしと感じられる印象的な場面であった。

またこの事件の犯人は、非常に細かい配慮のもと、わざわざ仕掛けの実験まで行った上で犯行に及んでいる。

この犯人の人となりが、本作では非常に良く描かれていたと思う。

緻密に計算されたこの事件は、犯人が驚くほど切れ者で、病的なほど潔癖で、なにより自尊心が強い人物だからこそ起きた事件であると言えるだろう。

事件の結末についてここで触れる事はしないが、日本の因習を感じさせるものであったと記しておく。

徹底的に和にこだわり密室殺人を描いた『本陣殺人事件』。洋館で起こる密室殺人とは少し違った雰囲気が楽しい作品であった。

最後に作品とはあまり関係がない話を。本作を読んでみて感じたことだが、やはり和の雰囲気はホラー向けなのだと思う。

ちょっと考えてみたが、自分が本作中でホラー要素であると感じ取ったものは「猫」「日本刀」「和室」とかその辺のアイテムだった。

この作品では登場しなかったが、他にも「鞠」だったり「人形」だったり「折り鶴」だったりもホラーっぽい要素の一つだと思う。

和の雰囲気ってなんか良いよね。

やまぐろ
システムエンジニア
SESで業務アプリケーション開発、エンドユーザ向け機能などの開発に携わっている文系(経営学)卒エンジニア。
当サイトでは読書記録を残したり、ガジェットのレビューをしたりしています。
たまにエンジニアっぽい記事を書いたりすることも。
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